夏の快眠のコツ
みなさまこんにちは^_^
お茶の水駅前生活習慣病クリニックの内科/循環器内科専門医、またよしです
あいかわらずうだるような暑さですが、体調はいかがでしょうか
さて、今回のテーマはずばり「睡眠」です
といいますのも、日本人の睡眠時間は世界的に見てかなり短い方です。
経済協力開発機構(OECD)が発表しているデータによると、日本は先進国33カ国の中で、平均睡眠時間が最も短い国として挙げられています。
- OECD加盟国の平均: 約8時間28分
- 日本の平均: 約7時間22分
これは、平均よりも1時間以上短いことになります。特に、働き盛りの世代や女性の睡眠時間が短い傾向にあり、「日本人女性は世界で最も睡眠がとれていない」という指摘もあります。
この睡眠不足は、健康面だけでなく労働生産性や経済損失にもつながると言われています。
日本人の睡眠時間が短い理由は、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられますが、主な理由を以下に挙げてみます。
1. 長時間労働と通勤時間の長さ
2. 夜型社会とデジタルデバイス(ブルーライト)の普及
3. ストレス(自律神経の乱れ)と真面目な国民性
4. 睡眠に対する意識の低さ
5. 家庭環境と子育て
これらの要因が複合的に作用し、日本人の平均睡眠時間の短さにつながっていると考えられます。健康や生産性への悪影響が指摘される中で、社会全体で睡眠の重要性を見直し、改善していく取り組みが求められています。
そこで本日は、手っ取り早く快眠を得るために、エアコンの設定について説明致しましょう。
とくに夏場は室温と湿度の両方が高くなりがちで、寝苦しさを感じやすいため、以下の点を意識しましょう。
- 設定温度:室温26℃前後(設定温度は25~28℃を目安に)
- 一般的に、快適に眠れる寝室の室温は26℃前後が理想とされています。
- エアコンの「設定温度」は、実際の室温と異なるため、室温計を置いて実際の室温を確認するのがおすすめです。
- 「暑がりな人」や「薄手の寝具・パジャマ」の場合は低めに、「寒がりな人」や「厚手の寝具・パジャマ」の場合は高めに設定すると良いでしょう。
- 湿度:50~60%
- 温度と同じくらい重要なのが湿度です。湿度が高いと汗が乾きにくく、体感温度が上がり、寝苦しさを感じやすくなります。
- 寝室の湿度は50%〜60%に保つのが理想的です。
- 除湿機能(ドライ運転)を活用しましょう。
- 風量:弱め(微風など)
- 風量が強すぎると体が冷えすぎたり、風の音で眠りを妨げたりする可能性があります。
- 微風や弱風など、体に直接当たらないように優しい風量に設定しましょう。
- 風向き:上向きまたはスイング
- 冷たい空気は下に溜まりやすいので、風向きは上向きに設定し、部屋全体に冷気が行き渡るようにすると効果的です。
- 直接体に風が当たらないようにすることも重要です。
- 運転時間:朝までつけっぱなしが推奨されることも
- 熱帯夜など、室温がなかなか下がらない場合は、朝までつけっぱなしにすることが推奨されることがあります。途中で切ってしまうと、室温が上がって寝苦しくなり、途中で目覚めてしまう原因になるためです。
- 「おやすみモード」やタイマー機能の活用
- 入眠時: 寝る前に部屋をしっかり冷やしておくため、就寝30分~1時間前からエアコンを稼働させておくのが効果的です。
- 切タイマー: 冷えすぎが心配な場合は、2〜3時間後に自動で切れるように設定するのも一つの方法です。ただし、その後室温が上がることで寝苦しくなる可能性も考慮が必要です。
- 入タイマー: 朝起きる1時間前くらいにエアコンがオンになるように設定すると、快適に目覚めることができます。
★次に、快眠のためには体のどこを冷やした方がよいのでしょうか★
快眠のためには、深部体温(体の内部の温度)を適切に下げることが重要です。人は、深部体温が下がるときに眠気が増し、深い眠りに入りやすくなります。
1. 頭部(特に後頭部、額)
「頭寒足熱」という言葉があるように、頭部を冷やすことは快眠に繋がると言われています。脳も内臓の一つであり、脳の温度が高いと深部体温も高い状態になります。
- 後頭部(耳から上): 神経が集中している首ではなく、後頭部を冷やすのが良いとされています。氷枕や、タオルで包んだ保冷剤などを後頭部の下に敷くのがおすすめです。
- 額: 冷却シートなどをおでこに貼るのも手軽な方法です。
注意点: 首を急激に冷やしすぎると、脳が生命維持への危険を感じて目が覚めやすくなったり、かえって深部体温が下がりにくくなったりする可能性があるため、首のつけ根や脇の下など、大きな血管の通っている部位を冷やす際は、冷やしすぎないように注意が必要です。
2. 手のひら・足の裏
手のひらや足の裏には、「動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう)」という、体温調節に重要な役割を果たす特殊な血管が通っています。ここを冷やすことで、効率的に熱を体外に放出し、深部体温を下げることができます。
- 冷水で冷やす: 就寝前に冷水で手足のひらを数分冷やす。
- 扇風機を当てる: 足元に扇風機を弱めに当てて、熱を放出させる。
- 冷却ジェルマットなどを活用する: 寝具の一部として、足元に冷却グッズを置くのも良いでしょう。
なぜこれらの部位を冷やすのか?
人が眠りにつくとき、手足の末端の血管が拡張し、そこから熱を放出することで、体の中心部の深部体温を下げていきます。これにより、脳もクールダウンし、深い眠りに入りやすくなるのです。暑くて寝苦しい夜は、この熱の放出がうまくいかないため、上記の部位を冷やすことで、体温調節を助けることができます。
まだまだ寝苦しい夜が続きますが、頑張っていきましょう!!(^o^)