【やっぱり危険!受動喫煙!!】〜大切な人の体と、あなたの血管を守るために〜
こんにちは。禁煙認定指導者のまたよしです(^^)
さて、皆さんは「受動喫煙(じゅどうきつえん)」という言葉を聞いて、どんなイメージを持ちますか?
「煙が煙たい」「服に臭いがつくから嫌だな」といった、なんとなく不快なものというイメージを持たれている方も多いかもしれません。
しかし、心臓や血管の病気を専門とする医師の立場からハッキリお伝えします。
受動喫煙は、単なる迷惑行為ではありません。まわりの人の命に関わる病気のリスクを高める、重大な「健康被害」なのです。
今回は、なぜ受動喫煙がそれほど危険なのか、分かりやすく解説します。
1. 実は吸っている人より危険!?「副流煙」の真実
タバコの煙には、吸う人が直接吸い込む「主流煙」と、火のついた先端から立ち上る「副流煙」があります。
実は、フィルターを通らない「副流煙」の方が、有害物質が圧倒的に多く含まれているのをご存知でしょうか?
厚生労働省などのデータによると、副流煙に含まれる有害物質は、主流煙と比べてこれほど多くなっています。
| 有害物質 | 主流煙を「1」とした場合の副流煙の量 | 体への主な影響 |
|---|---|---|
| ニコチン | 約2.8倍 | 血管を急激に縮め、血圧を上げる |
| タール | 約3.4倍 | 多くの発がん性物質が含まれる |
| 一酸化炭素 | 約4.7倍 | 血液の酸素運搬を邪魔し、体を酸欠にする |
タバコを吸わない人が、自分の意思とは関係なくこれらの強力な有害物質を吸い込んでしまうのが、受動喫煙の恐ろしさです。
2. 循環器専門医が見逃せない「心臓と血管」へのダメージ
「タバコ=肺がん」というイメージが強いかもしれませんが、実は心臓や血管(循環器)へのダメージも非常に深刻です。
受動喫煙によって有害物質が体に入ると、血管の壁が傷つき、血液がドロドロになって固まりやすくなります。その結果、血管が詰まる病気を引き起こします。
- 虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)
タバコを吸わない人でも、日常的に受動喫煙にさらされていると、心筋梗塞などの発症リスクが約1.2〜1.3倍に高まると言われています。
- 脳卒中(脳梗塞など)
脳の血管も同様にダメージを受け、脳卒中での死亡リスクが引き上げられます。
【ワンポイント】
「ほんの少し煙を吸うくらいなら大丈夫」は通用しません。血管への悪影響は、少量の煙であっても急激に高まることが分かっています。
3. 生活習慣病がある方は「ダブルパンチ」でさらに危険!
当院には、高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロールが高い)などの「生活習慣病」で通院されている患者さんも多くいらっしゃいます。
これらの方々は、もともと血管に負担がかかっている状態です。そこに受動喫煙の害が加わると、血管へのダメージは足し算ではなく、掛け算のように跳ね上がってしまいます。
「自分はタバコを吸わないから、食事や薬を頑張っていれば安心」と思っていても、ご家族や職場の煙によって、せっかくの治療効果が相殺されてしまうこともあるのです。
まとめ:大切な人と自分自身を守るために
受動喫煙を防ぐことは、タバコを吸わないご家族や周りの人の命を守ることであると同時に、喫煙者ご本人の健康を守ることにもつながります。
喫煙される方へ: 大切な家族や仲間のために、禁煙を考えてみませんか?
吸わない方へ: 煙がある場所をできるだけ避け、ご自身の身を守ってください。また、周囲の喫煙者に、積極的に禁煙外来をご提案下さい。
当院では、生活習慣病のコントロールはもちろん、禁煙に関するご相談やアドバイスも行っています。「そろそろタバコをやめたいな」「家族にやめてほしいけれど、どう勧めたらいい?」など、気になることがあればいつでもお気軽にご相談くださいね。
一緒に、健やかで強い心臓と血管を守っていきましょう!
【追記・Q&A】アイコスなどの「加熱式タバコ」なら、まわりに迷惑はかからない?
最近、紙巻きタバコからアイコス(IQOS)などの「加熱式タバコ」に変えられた方をよく見かけます。「これなら煙も出ないし、匂いも少ないから受動喫煙の心配はないよね?」と思われている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、それは大きな誤解です。
確かに、加熱式タバコは火を使わないため、タバコの先からモクモクと出る「副流煙」は発生しません。しかし、別の形でまわりの人に害を与えています。
1. 「目に見えない有害物質」を吐き出している
加熱式タバコを吸うと、白い霧のようなものが出ますよね。これは煙ではなく「エアロゾル(蒸気)」と呼ばれるものです。
この蒸気、実は吸った人の口から吐き出されるとき(呼出煙:こしゅつえん)、まわりの空間にしっかりと広がっています。
紙巻きタバコのように煙が見えにくく、匂いも独特ではありますが残りにくいため、一見「害がない」ように錯覚してしまいますが、その中にはニコチンやホルムアルデヒドなどの発がん性物質・有害物質がしっかり含まれています。
2. 血管へのダメージ(ニコチン)は健在
循環器専門医として特に注意していただきたいのは、ニコチンの存在です。
加熱式タバコにも、紙巻きタバコとほぼ同量のニコチンが含まれています。
ニコチンは、吸う本人の血管を傷つけるだけでなく、まわりの人がその蒸気を吸い込むことでも体内に取り込まれてしまいます。その結果、まわりの人の血管を縮め、血圧を上げ、心臓に負担をかけるリスクはゼロにはならないのです。
メッセージ:見えなくても「新型の受動喫煙」です
「煙が見えない=安全」ではありません。世界保健機関(WHO)や日本禁煙学会でも、加熱式タバコによる受動喫煙の危険性を指摘しています。
大切なご家族や周りの方の健康(特に心臓や血管)を守るためには、加熱式タバコであっても、人がいる場所での使用は避ける必要があります。
「加熱式にしたから大丈夫」と安心せず、この機会にぜひ、完全な「禁煙」への一歩を踏み出してみませんか?
💡 補足
※「電子タバコ」と「加熱式タバコ(アイコスなど)」を混同していることが多いようです。日本の法律上、ニコチン入りの「電子タバコ(リキッド式)」は販売されておらず、街で見かけるもののほとんどはタバコの葉を使った「加熱式タバコ」ですが、ここ最近若者の間で流行しているいわゆる「ニコパフ」は、電子タバコになります。
お気軽にご相談ください。
それでは、次回のブログでお会いしましょう。
〈執筆者情報〉
内科・循環器内科 又吉 周 医師
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2012年東京医科大学卒業。東京・千葉の総合病院にて循環器内科医とし勤務した後、医療法人社団縁風会のユアクリニックお茶の水にて勤務開始。2025年より同法人が新設したお茶の水駅前生活習慣病クリニックへ異動し、働き盛り世代の健康維持をサポートする医師として活躍。
日本内科学会内科認定医・内科専門医、日本循環器学会循環器専門医、日本心血管インターベンション学会認定医、日本禁煙学会認定指導医
