CKM症候群(心・腎・代謝症候群)〜「バラバラ」ではなく「セット」で守る最新の医学〜
こんにちは、お茶の水駅前生活習慣病クリニックのまたよしです(^^)
今日は、最近医学界で非常に注目されている「CKM症候群」についてお話しします。
「血圧が高い」「血糖値が少し上がってきた」「健診で腎臓の数値が引っかかった」
これらを別々の問題だと思っていませんか?実は、これらはすべて「地続き」の問題なのです。
1. CKM症候群とは何か?
CKMとは、以下の3つの頭文字をとったものです。
- C(Cardiovascular):心血管(心臓や血管)
- K(Kidney):腎臓
- M(Metabolic):代謝(肥満、糖尿病など)
これまでは、糖尿病は糖尿病、腎臓病は腎臓病として別々に治療される傾向がありました。しかし、近年の研究で「これらは密接に関わり合い、一つの大きな負のサイクル(症候群)を作っている」ことが明確になりました。
例えば、お腹周りの脂肪(肥満)が増えると、インスリンの効きが悪くなり(代謝異常)、それが血管を傷めて血圧を上げ、さらに腎臓に負担をかけます。ボロボロになった腎臓はさらに心臓に負担をかける……という、「負のドミノ倒し」が体の中で起こるのです。
2. あなたは今どの段階? 0から4までの「ステージ」
CKM症候群には、進行具合に応じた5つのステージがあります。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
ステージ0:リスクなし
健康的な状態です。これを維持することが目標です。
ステージ1:過体重・肥満
まだ病気ではありませんが、お腹周りの脂肪が増え、血糖値が少し高くなり始めている段階です。ドミノの一枚目が倒れかかっています。
ステージ2:代謝異常・腎臓病の兆候
高血圧、糖尿病、脂質異常症、あるいは慢性腎臓病(CKD)と診断された段階です。自覚症状はありませんが、血管へのダメージが蓄積し始めています。
ステージ3:心血管疾患の「予備軍」
自覚症状はありませんが、検査(心エコーや検査数値)をすると、心臓の筋肉が厚くなっていたり、動脈硬化が進んでいたりする段階です。
ステージ4:心血管疾患の発症
心不全、心筋梗塞、脳卒中などを実際に発症してしまった段階です。
3. なぜ今、この概念が重要なのか?
それは、「心臓を守るためには、心臓だけを見ていてはいけない」ということが分かったからです。
特に循環器専門医の視点からお伝えしたいのは、「腎臓の数値(eGFRなど)」や「お腹周りの脂肪」が、将来の心不全リスクを予測する最も強力なサインになるということです。これらを早期にコントロールすることで、ドミノ倒しを途中で止めることが可能になります。
4. このブログを読んだあなたが「今すぐ」すべき3つのこと
「CKM症候群かもしれない」と不安になる必要はありません。この概念の素晴らしいところは、早期に見つければ対策が非常に明確だということです。まずは以下の3ステップから始めてください。
① 「健診結果」を引っ張り出す
過去1〜2年分の健康診断の結果を見てください。以下の項目にチェックはありませんか?
- BMIが25以上、または腹囲が男性85cm/女性90cm以上
- HbA1c(血糖値の指標)が少し高め
- eGFR(腎機能の指標)が60未満
- 尿蛋白が「+」以上
一つでも当てはまれば、すでにCKMのステージに足を踏み入れている可能性があります。
② 「家庭血圧」の測定を習慣にする
病院で測る血圧よりも、リラックスした自宅での血圧の方が、あなたの血管の「真の実力」を教えてくれます。朝と晩の2回、記録をつけるだけで、治療の質は劇的に上がります。
③ 専門医に「トータル管理」を相談する
「血圧は内科、糖尿病は専門クリニック……」とバラバラに通うのも一つの手ですが、CKM症候群の考え方を持った医師(循環器・内科専門医)に相談してください。
実は、糖尿病や肥満治療で有名なチルゼパチドも、最近は腎臓や心臓を保護する〈臓器保護の観点〉からも改めて注目を浴びています。
結び:40代・50代が「分かれ道」です
働き盛りのこの時期は、つい自分の健康を後回しにしがちです。しかし、CKM症候群のドミノは、私たちが気づかないうちに静かに倒れ始めています。
「まだ薬を飲むほどじゃない」と思っている今こそが、将来の自分を救う最大のチャンスです。
気になる数値がある方は、ぜひ一度、診察室でゆっくりお話ししましょう。あなたの10年後、20年後の心臓を守るための計画を、一緒に立てていきましょう(^^)
お気軽にご相談ください。
それでは、次回のブログでお会いしましょう。
〈執筆者情報〉
内科・循環器内科 又吉 周 医師
診療日・時間
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2012年東京医科大学卒業。東京・千葉の総合病院にて循環器内科医とし勤務した後、医療法人社団縁風会のユアクリニックお茶の水にて勤務開始。2025年より同法人が新設したお茶の水駅前生活習慣病クリニックへ異動し、働き盛り世代の健康維持をサポートする医師として活躍。
日本内科学会内科認定医・内科専門医、日本循環器学会循環器専門医、日本心血管インターベンション学会認定医、日本禁煙学会認定指導医
