大掃除の季節、腕に痺れや怠さを感じていませんか?
🩺 大掃除の季節、腕に痺れや怠さを感じていませんか?
こんにちは(^^) お茶の水駅前生活習慣病クリニックの内科/循環器内科専門医のまたよしです
今回は、少し聞き慣れないかもしれませんが、実は重要な血管の病気、「鎖骨下動脈盗血症候群」(Subclavian Steal Syndrome)について、分かりやすく解説していきます。
🔑 鎖骨下動脈盗血症候群とは?
「盗血(とうけつ)」という物騒な名前がついていますが、これは文字通り、血液が"盗まれて"しまうような状態を指します。
この症候群は、主に左側の鎖骨下動脈(心臓から左腕に向かう太い血管)の根元部分が、動脈硬化などで狭くなったり、詰まったりすることで起こります。
血管が狭くなると、その先の左腕に必要な血液を十分に送れなくなります。すると、体は別のルートから血液を確保しようとします。具体的には、右椎骨動脈を経由して、左椎骨動脈を逆流して血流を確保します。
つまり、本来は脳へ行くはずの血液が、狭くなった左鎖骨下動脈の先を迂回して、左腕の方向へ逆流してしまう現象が起こります。これが「盗血」と呼ばれるゆえんです。
⚠️ どんな症状が出るの?
この症候群の症状は、血液を盗まれた側(通常は左側)の腕と、血液の流れが一時的に悪くなる脳の両方に出ることがあります。
1. 腕の症状(虚血症状)
腕のしびれや冷感…腕を激しく動かした時(例えば、高いところの物を取ろうとしたり、重い物を持ったりした時)にだるさや痛み、脱力感が出る(これが最も特徴的な症状です)。左右の腕の血圧を測ると、患側の血圧が健側よりも極端に低い(20mmHg以上の差があることが多いです)。
2. 脳の症状(一過性脳虚血発作に似た症状)
腕を使う時に血液が腕に奪われるため、脳の血流が一過性に悪くなり、以下の症状が出ることがあります。
- めまい、ふらつき
- 意識が遠のく感じ
- 視界が一時的にぼやける(一過性黒内障)
ただし、多くの場合は自覚症状がないまま経過し、健康診断などで血圧の左右差を指摘されて初めて見つかるケースも少なくありません。
🔎 原因と検査
主な原因
鎖骨下動脈盗血症候群の最大の原因は、動脈硬化です。高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙習慣がある方は、特に注意が必要です。
検査方法
血圧測定: 左右の腕の血圧を比較し、大きな差がないかを確認します。
超音波(エコー)検査: 鎖骨下動脈や椎骨動脈の血流や狭窄の程度を調べます。侵襲性がなく、診断の第一歩として重要です。こちらは、当院で可能な検査です。
CT血管造影(CTA)またはMRI血管造影(MRA): 血管の詳しい形状や狭窄部位を立体的に把握するために行われます。こちらは、お茶の水駅前のメディカルスキャニングなど、近隣施設へ撮像依頼となります。
💡 治療法
症状の重症度によって治療法が異なります。
無症状または軽症の場合:
- 原因となっている動脈硬化の進行を防ぐための生活習慣の改善(禁煙、食事・運動療法)
- 抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)の服用
重い症状がある場合(日常生活に支障をきたす、脳虚血症状がある):
- 血管内治療(カテーテル治療): 狭窄した血管をバルーンで広げ、ステント(金属の網状の筒)を留置して血流を改善する方法。体への負担が比較的少ない治療法です。
- バイパス手術: 狭窄部を迂回する別の血管(人工血管など)をつなぎ、血流の新しい通り道を作る手術。
🌟 まとめ
鎖骨下動脈盗血症候群は、初期には自覚症状に乏しいこともありますが、進行すると生活に大きな影響を及ぼしたり、まれに脳の血流障害につながることもある病気です。
「腕を動かすとすぐ疲れる」「左右の腕の血圧がいつも違うと言われる」といった心当たりのある方は、念のため医療機関で相談し、検査を受けてみましょう(^^)!
