ぶどう農家のおじいさん
こんにちは。わたなべゆいです◎
今日は私が研修医のときに担当した患者さんの話。
長野県で研修医時代を過ごしました
「あー。入院だってよ。これからぶどうの季節なのに困ったもんだね。」
担当になったのは、お話好きのぶどう農家のおじいさん。
研修医時代、長野県の北部で働いていたので患者さんは農家の方がいっぱいいました。
農家に定年退職はないので、70歳から90歳までバリバリ現役で働いていて
いつもこちらが元気をもらっていました。
おじいさんがかかえる病気は「心不全」
そんなぶどう農家のおじいさんはよくお喋りしますが、話しすぎると息が切れるので鼻には酸素マスク、足をみるとゾウさんのように浮腫んでいました。
そう、おじいさんは心臓の病気「心不全」で入院となりました。
心不全になると心臓が十分に血液を送り出すことができないので心臓は大きくなり、からだに水分が溜まって、体重が増え、とくに足から浮腫んできます。
「こんなんじゃ靴も履けやしねえ!」
おじいさんが浮腫んだ足をよく見せてくれるので、足を押して、押した指の跡がくっきり残ったのをみて、教科書で勉強した内容はこれかとよく覚えています。
秋の味覚を育てる農家さんと、頑張る心臓
ぶどうは山の斜面で育つので、収穫やメンテナンスに行くのも一苦労。
坂道は心不全の患者さんにとってかなり強敵です。
リハビリで息切れしながらもおじいさんはぶどうの心配をしていました。
「俺がメンテナンスしないと味や仕上がりが全然違うんだ。家族の他のやつでもだめなんだ。」
スーパーや道の駅で果物をみると、いつも農家の人が頑張って育てたものなんだよな、と長野で出会った人々に思いを馳せることが増えました。
結局おじいさんは心不全の急性期の治療(利尿剤:水分を身体から排出する薬)を行い、症状は軽くなったので退院しましたが、対症療法で根本の心臓自体はよくなっていないのでまた働きすぎると病院にやってきてしまうのです。
おせんべいとかしょっぱいもの食べすぎないでくださいね、というと、けらけら笑いながら退院していきました。
ぶどうとおじいさんと頑張る心臓、全国の日本の農家さんに感謝しながら秋を感じてます。
そんな秋の思い出でした。ではまた診察室か次回のブログでお会いしましょう!
〈執筆者情報〉
内科・神経内科 渡邊 由衣 医師
2019年北里大学卒業。東京医科歯科大学病院(現:東京科学大学病院)や新渡戸記念中野総合病院、北信総合病院にて勤務しつつ、2021年より医療法人社団縁風会のユアクリニックお茶の水・ユアクリニック秋葉原にて勤務開始。2025年より同法人が新設したお茶の水駅前生活習慣病クリニックへ異動し、多忙な患者の生活に寄り添いながら健康を支える医師として活躍。
日本内科学会認定内科専門医、日本神経学会所属
